Light Fantasia

オウカという国には各国から腕自慢が揃う冒険者組合がある。
 名(迷)物補佐官でありながら冒険者でもあるファニィ、美貌の怪力美女ジュラフィス、
健気で超天才児のコートニス、生真面目で世話やき基質のタスク。
 凸凹四人組が織りなすハチャメチャファンタジー!


なろう版

        3

 僕と姉様の体調も随分回復して、そしてヒース様も腕の骨折はあるものの、もうすっかりお元気になられました。なによりも、組合の皆さんを集めて頭を下げられ、そして改心するので自分を徐々にでいいので認めてほしいと、皆さんに真剣にお願いなさったんです。
 ヒース様は本来、真面目でお優しいかたです。だから組合の皆さんも最初は、ヒース様のあまりに急変した態度に少しとまどわれたものの、ファニィさんの口添えもあって、最後は拍手でヒース様を迎え入れられました。
 本当に良かったです。ヒース様はこれからもっとご自分に自信を付けていかれると思います。だから僕も精一杯、ヒース様を応援しようと思います。

 元締め様のご提案で、ヒース様を補佐官修行という名目で、ファニィさんにご指導を命じられて数日が経ちました。僕と姉様、タスクさんは、ファニィさんに会議室へ集合するように命じられました。僕たちはすぐ会議室へ向かいました。
 会議室には、ファニィさんとヒース様がいらっしゃいました。
「うん、みんな集合ね」
 ファニィさんがニコリと笑います。
「ジュラ、コート。もう体は大丈夫?」
「ええ。とても良好ですわ。お食事も美味しいですし。ねぇコート」
「は、はい。ご心配お掛けしました」
 ファニィさんが目配せすると、ヒース様が僕たちにお仕事の依頼書の複写を配ってくださいました。
「みんな覚えてるでしょ? ジーンの国宝、タイガーパール。その奪還命令を元締めより直々に受けました。出動よ」
 ファニィさんが不敵に笑います。
「例の奴の所に乗り込むんだな?」
 タスクさんがパシンと両手を胸の前で合わせました。
「そういう事。タスクとジュラが調べてきてくれたペイドって男。ジーン国境沿いのラーモルの町で麻薬を闇で売買する商人だって事が分かったの。だから相応に手強い護衛を雇ってるわ。組合でペイドの捕縛による麻薬売買ルートの壊滅、そしてあたしたちはタイガーパールの奪還。このセットで今回は動く事になるからよろしくね」
 一度にたくさんのことをこなさなければいけないお仕事です。でもたくさんお休みしていた分、一生懸命がんばらないといけません。
「町中での戦闘になるはずだから、コートとタスクは控えめにお願いね」
「お前とジュラさんで大丈夫か?」
 タスクさんの魔法だと、確かに町の中では被弾して延焼という被害が広がってしまうかもしれません。僕の火薬玉も威力を調整しないと……。
「あら。タスクも肉弾やってもらうわよ?」
「む、無茶言うな! こっちは頭脳労働派なんだよ!」
 ファニィさんの言葉に、タスクさんが慌てて身を乗り出されます。
「フライパンで殴ればいいじゃない。あんたフライパン振るの得意でしょ」
「……っざけんな! そんな恥ずかしい事、できるか!」
 タスクさんがお顔を真っ赤にして怒鳴っています。ヒース様はおかしそうにお二人のやり取りをご覧になっていました。ヒース様、すっかり明るくなられて、僕も嬉しいです。
「使えない奴ねー」
「ファニィ。そういじってやるな」
 ヒース様がタスクさんに助け舟を出されました。

 ヒース様とタスクさんは当初、どこか反りが合わないようで、とてもいがみ合っていらっしゃいました。でも先日、ファニィさんと三人で話し合いをされたらしく、その日からすっかり意気投合なさったんです。孤立なさっていたヒース様に、タスクさんは初めてのちゃんとしたご友人になるのでしょうか? それってとても素敵なことだと思います。
「夜間襲撃の予定なんだが、周辺住民は別働隊を派遣して、秘密裏に安全地域へ避難させる予定だ。だから炎の魔法でも火薬の発破でも加減無しで大丈夫だ」
 ヒース様がタスクさんに説明されると、タスクさんは鋭くファニィさんを睨み付けられました。ファニィさんはペロリと舌を出して肩を竦めていらっしゃいます。
「ファニィ、てめぇ謀りやがったな!」
「フライパンでカンカンやったら面白かったのに」
 ファニィさんは口元に手を当ててふふっと笑いました。
「焼き殺すぞ、クソアマ!」
「残念でした! あたしはちょっとくらい焦げても死なないから!」
「まぁまぁ。お二人共お元気ですわね」
 僕は嬉しくなりました。
 日常の風景が戻ってきたんです。元通りの光景が、目の前に戻ってきたんです。
 僕と姉様が毒で意識を失っている間に、ヒース様も自ら命を投げ出そうとなさって、ファニィさんもタスクさんもとても憔悴なさっていたと聞いています。いろんなことが一度にたくさん起こって、組合の中がめちゃくちゃになっていたと聞いています。
 でも今は……元通りなんです。僕、本当に嬉しいです。皆さんのこと、僕は大好きです。これからもずっと、一緒にいたいです。

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